経済構造の点でいえば、まず、直接的には石油の状況の変化に対応して省エネルギーが進められる。
あるいは代替エネルギの開発がされることであり、その過程で高付加価値型的な産業のウエートが高まり、他面で知識集約的な産業を中心に、サ壱ス化.ソフト化が徐々に進行していくことであります。
また、この間に、1960年代への反省として、公害防止、あるいは消費者保護への対応が進み、国民生活の質に対する関心が高まりました。
この1970年代にはじまった「調整期」を経て、80年代の半ぽころから日本経済は「新しい時代」に入ろうとしていますが、当面、私たちが最も関心をもつべきことは、対外収支の問題です。
やや極端にいえば、国際化が進む日本経済として最も優先的に取り組まなければならない問題は、世界経済にいま、いろいろな不均衡のあるなかで、国際収支の不均衡を是正することです。
そして、国内的には、これまでは経済成長の成果が必ずしも日本国民の生活の質を高めることになってこなかったという反省のうえに立って、これから対外均衡の改善と国民生活の質の向上を図るという、2つの目標が追求されなければなりません。
幸いこの2つは、いまの日本経済にとっては相矛盾する命題でなく、両立する命題です。
第二次大戦が終わってから、日本の経済はほとんど駆け足で復興から成長を遂げてきたのですが、1970年代に入って、また新しい試練に逢着します。
それは具体的にいえぽ、いずれも国際的な出来事です。
ひとつは通貨制度の改革(固定相場制から変動相場制ヘ)であり、いまひとつはエネルギー問題、すなわち2度にわたるオイル・ショックの発生であります。
この2つの大きな出来事によってゆれ動く経済は、1980年代の半ばすぎまで続いています。
この時代を多くの人は「調整の時代」とか「対応の時代」と呼んでいます。
それでは、「調整」とか「対応」というのは、どのような課題をさすのでしょうか。
それは、新しい通貨制度にいかに慣れていくか、また石油依存の経済体質をいかに変えていくかということで、それまでの日本経済の運用のやり方を改め、経済構造を調整しなければならなくなったということです。
成長率は、それまでの年平均10%という状況から一変し、3~5%程度の成長率に鈍化しています。
それは新しい時代に適応するための調整期間であるという特色を象徴していました。
この調整の時代の余韻は、1980年代の後半から90年代の前半まで続くでしょうが、これから新しい時代が開けるその基礎固めをなすときでもあります。
ここでの特徴は、産業構造が徐々に変わり、経済体制も従来より、より国際的に開放的になっていくということです。